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『錦帯橋』創建の英知の『真承』

■『真承』
 おそらくどんな辞書を引いても存在しない単語です。私が岩国の名橋『錦帯橋』から教わりました。
 意味は、『真』を『承』わると言うことです。中国の言葉から考えると『承真』とすべきかもしれませんが、それは私の造語ですから、お許し下さい。『承』わるものは、『真』のみですよ、とでも解釈していただいても結構です。

■世の中には、伝承と言う言葉があります。『承』って『伝』えることですが、元々真実を『承』っていない人には、次の人へ『真』実を確実に伝えることはできません。『真承』と言う言葉を『錦帯橋』から教わったと申し上げました。『錦帯橋』創建の英知の『真承』が、この度の架け替えに求められています。

■古来、錦帯橋の技術の伝承は、様々な形で行われてきました。そこで大きな役割を果たしたと考えられているものが、型板です。しかし、型板は、加工上の定規として使用したり、同じ部材を数多く造るためのもので、決して、技術の伝承、あえて申しあげますならば、技術の『真承』のためのものではありません。
 あたかも、型板や原寸図が後の技術者の為のもののように語られていますが、これは違うと思います。たまたま、後世の技術者がそう思ったのかもしれませんが・・・。

■それでは錦帯橋における『真承』とは、いかなるものでしょうか。それは、創建時の基本コンセプトを掌握する事です。以前の型板や図面が無くても、新たに図面が作成できる『手法』を伝承することです。そして、創建時の基本コンセプトにそうものであれば、当該再建時の最高の技術を、付加し続けることが、『真承』と言えます。

■従って、大切なことは、写し絵的な型板の製作ではなく、絶えず原点に立ち返った、創造的な図面の『作成手法』の伝承が必要と言えます。匠の技を伝えるときの、魂の羅針盤は何でしょうか。『真承』以外考えられません。

■この世の中は『人間』と『自然』と『時間』との様々な関わりで出来ています。人間にとって大切なことは絶えず『人間』と『自然』と『時間』に対して、的確にその『真』を『承』っていれば、おおむね良好な営みが出来ます。『錦帯橋』は実に大切なことを教えてくれました。


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