NMEC
NEW  MILLENNIUM  EXPERIENCE  COMPANY  を訪問して

松屋産業株式会社
代表取締役 松塚 展門 

■ はじめに

 世はまさに不況まっただ中である。しかし、捜してみれば、未来に向けた夢の追求はいくつかある。今回は、新しい民間活力導入施策(PFI(PRIVATE FINANCE INITIATIVE))で、その成功例が、日本でも紹介されている、ロンドンのNMEC を訪問したので報告する。百聞は一見にしかず、とよく言うがまさにその通りであった。結論から言うと、民間活力導入と言うより、政府が介入し強引に引っ張り込んでいるといった表現が適切であった。しかし、新しい博覧会の開催コンセプトを学ぶには極めて有意義な訪問であった。我が国、とりわけ未来博を2001年に計画している山口県民にとってはスケールの差はあるものの、勉強させられる点が多かった。

■ ミレニアム・ドーム

 紀元2000年を記念し、1000年に一度のお祭りとして、21世紀を迎える直前のちょうど1年間(一般公開2000年1月1日?12月31日)開催されるいわゆる博覧会である。場所はロンドン市街から12分のところにヨーロッパ最大の地下鉄駅として新規にオープンするノース・グリニッジ駅に併設した場所である。この地点は子午線00度が通過している事で有名な地点である。
 展示の会場となるミレニアム・ドームは、直径が約320M、中央部の高さ50Mのドームであり、設計はパリのポンピドーセンターを設計した建築設計事務所リチャード・ロジャース・パートナーシップによるものである。
 すでにテントは全ておおわれ内部の空間の仕上げを急いでいるとの説明であった。我々は大きな模型を見学し、いくつかのスライドを見せられたが、実に大きな建物であった。英国が見せる今世紀最大の意地であろうか、または、来るべく世紀の、いやミレニアムの覇権を唱える大きな『のろし』であろうか、とにかくビッグプロジェクトではある。

■ 展示と運営

 詳細については インターネットのミレニアム・エクスペリアンスのホームページ(http://www.mx2000.co.uk/)を御覧になるのが最も有効だと思うが概略を記しておく。
 展示は14のゾーンに別れている。未来の生活を象徴する14のゾーンと言うことである。確かに多い数であり、14もピックアップすれば、何でも網羅できると思った。ちなみにこれらを列記しておく。
1.MIND 2.BODY 3.SPIRIT 4.WORK 5.LEARN 6.TRANSACTION 7.REST 8.PLAY 9.LOCAL 10.NATIONAL 11.GLOBAL 12.COMMUNICATE 13.NATIONALIDENTITY 14.MOBILITY と言う項目である。
 全ての項目は、国家にとっても、個人にとっても、企業にとっても重要なものであることが強く説明された。
 運営は多額の資金を提供するスポンサーにおうところが大きく、必ずしも前途揚々とはいかないようであった。しかし、会場と全国の学校をリンクした教育の展示には興味を引かれた。

■ 真のリーダーシップ

 未来に向けられた、大きなプロジェクトをまとめあげるには、やはり真のリーダーシップが必要であることを痛感した。いくら民間の活力導入の新手法と言っても、夢のないところに誰も投資する人はいない。
 1000年と言う長大なスパンはともかく、近未来の情景を躍動的に明確に美しく分りやすく、しかも有意義なコストで構築できる人材がこの日本には居ないのであろうか。

■ おわりに

 いつも楽しみにしているNBCの視察であるが、今回も大変有意義なものであった。我が国もよく世界を見て、大いなる夢を描き、その実現ができる国づくりに勤めなければならないと思った。


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