日本建築学会 学術講演会 於:東京大学 講演番号・・・・・・・・20433 テーマ・・・・・・・・・『錦帯橋のアーチ形状に関する基礎的研究』 発表者・・・・・・・・・松塚 展門 部門・・・・・・・・・・構造 I セッション・・・・・・・立体骨組構造の施工他 セッション開催・・・・・2001年 9月23日(日) セッション開催時・・・・13:32〜14:36 |
■岩国の錦帯橋に関係する話題が次第ににぎわいを見せています。50年ぶりとなる錦帯橋の架け替えがあるからです。私も元請け業者の一人として担当しています。 ■ところで 美しい錦帯橋のアーチを研究した論文は土木学会や建築学会にいくつか提出されていますが、そのどれを取ってみても大きな疑問点を解決していませんでした。 ■創建者児玉九郎右衛門がいかにして錦帯橋の詳細なアーチ部の図面を描いたか、と言う疑問点が未解決のままでした。さらに錦帯橋のアーチ形状を3つの円弧で近似するという大きな間違いを論文で述べておられる方もありました。 ■正解は カテナリー(懸垂線)すなわち鎖を両側から垂らしたカーブです。これが 錦帯橋のアーチです。私の論文ではさらに全体の構造設計の解明をしています。 ■1673年に児玉九郎右衛門が錦帯橋を創建し 実に三百数十年ぶりに解き明かされる錦帯橋の創建の真実を是非ごらんになって下さい。 ■技術立国を目指す日本にとって、重要な歴史上の事実を再認識し、今後の展開に向けるためにも、画期的なテーマと思います。錦帯橋創建の同時代ヨーロッパではニュートンが大活躍してましたが、彼に勝るとも劣らない超人が存在したことを、世界にアピールしたいものです。 ■ガウディーもサグラダファミリアでカテナリーを利用したことは知られています。しかし、それを越える遙か昔に日本で、錦帯橋が児玉九郎右衛門によってカテナリーを利用し創建された事実は特筆すべきです。 ■この児玉九郎右衛門による錦帯橋創建の真相が、なぜ今まで解明されてこなかったのでしょうか。 ■理由はいろいろ考えられますが、私は一つの結論を得ました。 ■児玉九郎右衛門の天才的な錦帯橋創建技術の全てが型板と言う定規に移し替えられ、橋の部位の主要な位置がXY座標に置き換えて伝承されたがための結果と考えられます。 ■実際には錦帯橋はカテナリー座標とも表現できる空間の中に存在しているのです。 ■今回の架け替えは十分な時間を持って行われる歴史始まって以来の出来事です。 創建の知恵を再発見し、型板を伝承しなくても、型板をいつでも作れる匠の技を伝承すべきです。 ■型板のコピーには誤差が紛れ込みます。事実平成の錦帯橋にはその誤差が出てしまっているのです。担当した大工も最初の第3橋(中央部)で失敗しました。 ■彼らが作った原寸図が間違っていたのです。 ■それはそのまま新しい平成の錦帯橋の残されました。 ■今その様子は現地で見ることが出来ます。 ■錦帯橋の創建時の姿を大切にするためには錦帯橋の基本設計に使われたカテナリーを理解する必要があります。 |
■カテナリーは
コンピュータもない時代でも
今日でも
ロープやチェーンがあれば
誰にでも
すぐ作れる
美しいアーチの曲線なのです。
■これは錦帯橋の世界遺産化に向けて重要なファクターになります。
『錦帯橋のアーチ形状に関する基礎的研究』
松塚展門
日本建築学会
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松屋産業株式会社