モンデックス
Mondex  International  Limited

松屋産業株式会社
代表取締役 松塚 展門 

■ 夢の電子マネー

 ICカード型電子マネーの展開では世界のトップ水準を行くモンデックス社を訪問した。見るものと言えば小さなカードと、そのカードを読みとる機械のようなものだけであり、システムと概念を聞くことが重要な訪問であった。
 概括的な、説明がVTRによりなされた。『夢の電子マネー』と言われるだけあり、現在の現金とクレジットカードだけでは、到底実現出来ない未来社会の金銭支払いシステムの数々が紹介された。

■ モデル実験

 現在イギリスのSWINDON地区でモデル実験が行われており、かなりの実績が上がっていると説明されていた。なぜSWINDON地区において、モデル実験が行われているのか、という質問に対しては、1。平均的な町である 2。大手スーパーがある 3。地理的条件がよい 4。デジタル回線がすでに整っている 5。自治体の取り組みが意欲的である 等々の答えが返ってきた。

■ 周辺機器

 モンデックスの電子マネーはICを組み込んだいわゆるICカードである。4桁の暗唱番号と金銭の授受の記録は小さなICの中に書き込まれ、完全にオープンな形で社会に出回ることになる。
 そのカードを読むことの出来る『電子財布』、簡単に送金できる『送金電話』、現場で支払い決済をする『電子レジスタ』等々電子マネーに伴う周辺機器はおびただしい種類と数になる。

■ セキュリティーの確保

 そこで、最初に問題になるのがセキュリティーである。はたして4桁の暗唱番号のみで絶対の安全が確保出来るのであろうか。この質問に対して回答は安全と言う事であったが、現実の実験ではカードの金額の上限が500ポンドと言う事であった。
 また、システムの開発に当たっては、1つのプロジェクトを10人程度で行っており、ただ1人の担当者が決して全てのセキュリティーシステム情報を握る事はないとの説明であった。
 参加者の質問の多くは、このセキュリティー確保に集中していたが、無理もないことと思う。

■ 日本へのマーケッティング

 モンデックス社のIC製作や周辺機器の製作には多くの日本企業が参入しているということであったが、当然日本は電子マネーの大きなマーケットでもあると説明された。しかし、日本の金融制度を考慮するとき、簡単に展開できるかどうかは、大変疑問があるように思えた。今後の展開が大いに楽しみである。

■ 最近の事情 

 この文章を作成するにあったっては、大幅な変更を強いられた。というのは、平成8年11月中旬の多くの新聞によって国際クレジット大手のマスターカード・インターナショナルによるモンデックス社の買収のニュースが流れたからである。
 考えてみれば、こんな劇的な事が起こる会社をその直前に視察すると言うプログラムを組まれた関係各位の先見性に敬意を表すると共にNBCの組織としての素晴らしさに感動した。
 電子マネーの小回りと、クレジットカードの信頼性が両者適当に加味されたらおそらく、理想のカードに成りうると思う。モンデックス社を訪問したときの多少の不安感はこれで消えた。

■ 未来の姿

 価値の創造とその評価、価値の創造とその交換、価値の創造とその蓄積、等々は人類の永遠の課題である。尺貫法がM,Kg法に統一されたように、世界の通貨単位が統一されることは夢のようであるが大切な事と思う。
 『タレント』と言うとある能力を持った人、あるいは芸能人を思い出すが、古くはギリシャの貨幣の単位であったと聞く。世界の通貨がこの『タレント』に統一され、どこの国の人々も一生懸命に働き、同一の価値を生産すれば、同一『タレント』の収入が有るようにすれば良いと思う。為替レートに一喜一憂する経済は本当の経済なのだろうか・・・。


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