錦帯橋『たばね』の知恵



錦帯橋




錦帯橋の主たる構造
木材が黒い巻金で束ねられている。



 いまや、サッカーチームのサンフレッチェとはどんな意味?と聞くのが恥ずかしいほど多くの人々がこれを知っている。老婆心ながら・・・サンとは数字の三、フレッチェとは矢という意味である。

 毛利元就は一族の結束を三人の子供たちへ託した。有名な三本の矢の教えとして実に判り易くこれを託した。

 ところで、三本の矢を単純に束ねて曲げると、一本のままを曲げるときの何倍の強さが生まれるのであろうか。当然三倍である。何と単純な問題と思われるかも知れない・・・。

 それでは、
曲げに対して最も効的に束ねると何倍の強さが生まれるのであろうか。
 
 これがなかなか難しい問題なのである。解答を急ぐがこの場合、曲げに対して最も効的に束ねると、一本のままを曲げるときの約二十数倍の強さが得られる。(ここで重要なことは最も効的に束ねると言うところであるが興味のある方は後に述べる錦帯橋の構造を見て戴きたい。)

 わずか、三倍の材料で約二十数倍の効果が得られる。なにか魔法の様であるが、これが人間の知恵である。

 岩国の名橋『錦帯橋』は木造では世界一のア−チ橋である。この橋のア−チ部分は、実は『たばね』の知恵から出来上がっている。最も三本だけではなく三本から六本の角材を
巻金と釘や耐剪断部材(ダボ)を効果的に使って束ねて造られている。

 この結果、元の角材に比べると束ねられた組立部材は最大では約二百倍の強度になっている。『錦帯橋』の美しさの陰に潜む『たばね』の知恵、我々に何かを物語っているようである。


 古来、三人寄れば文殊の知恵と言われている。



 

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